『芸術新潮』04年7月号には「ヨーロッパから見れば辺境の後進国。そんな状況に甘んじてきたロシアにとって、西欧に追いつき追い越すことは悲願でした。18世紀初めにペテルブルクの建設にとりくみ、西欧風の都市をつくりあげたのもそのため、努力のかいあって19世紀末にはかなりの西欧化をはたします。このころから20世紀はじめにかけてヨーロッパ諸国では世紀末芸術が咲きほこりますが、ロシアもその動向に共振し、ペテスブルグでは1898年、セルゲイ・ディアギレフとその一派が象徴主義の雑誌『芸術世界』を創刊。ここに参加した画家たちがすばらしい絵本をうみだす」とあります。
『絵本の黄金時代』(国立国会図書館国際子ども図書館刊)によると19世紀、世界的にはそれまで労働力としてしか見られていなかった子どもへの関心が高まり、後半にはようやく読み物や絵本が流通しはじめたとあり、ロシアでも活発に教育について議論が行われ、この時代もっとも大きな影響力をもっていたといわれるエレン・ケイの『子どもの世紀』も1905年にはロシア語に翻訳されたということがわかります。
当時のロシア児童文学の分野では主流は童話、歌、詩であったようで、ピュートル・エルショーフの『せむしの仔馬』やアレクサンドル・プーシキンの物語などが生まれています。また、その後の絵本誕生への大きな技術的な背景として写真製版の登場もあげられるでしょう。
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ロシアの絵本「カランダーシ」
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