※仏時代カストール文庫 |
ロジャンコフスキーはロシア出身です。でも、青年期には混乱のロシアを出て、ヨーロッパ、主にパリで、子どもの本の絵を描きたいという夢を実現させ成功をおさめるんですね。でも、第二次世界大戦開戦にともない、南仏へ逃れ、スペイン、ポルトガルを経て、最終的に小さな貨物船で海を越え、ついには遠いアメリカへと渡ることを余儀なくされます。そう。それはまるで、野原で銃声を聞き、逃げる野うさぎのフルーの姿と重なりますね。
※仏時代カストール文庫 |
パリでのロジャンコフスキーの活躍といえば、なんといっても、ポール・フォシュによって創刊されたカストール文庫への参加でしょう!前述のフルーやブウル、そして「りすのパナシ」のお話を初め、フォシュ夫人のリダとのコンビで他にも「かものプルッフ」など、自然と動物の様子を子どもたちに伝える絵本や、「ミシカ」などのお話絵本など、今も子どもたちに愛され続けている優れた絵本を残していますね。
※渡米後の作品 |
※目がパッチリ・着衣・擬人化 |
※コルデット賞 |
資料によると、ロジャンの絵本挿絵の原点は、もともとの絵の才能に、高校時代に培われた博物学の素養が加味された自然への興味と愛にあるようです。幼いころ夢中になった動物園でのスケッチ、父親の蔵書のドレ!の作品に魅せられたというエピソードなども、ロジャンの絵の大切な要素でしょう。そんなロジャンですから、世界どこに行っても、その地の自然、生き物に心寄せたに違いないでしょうし、そういう興味が、異国の地を知る助けにもなったのではとも思います。
パリでも、アメリカも成功をおさめたロジャン。もし、ロシアにそのままいたら、うーん、テーマは同じでも、多分違う表現の絵を描いていたんではないかな。そう、独断を許してもらえるなら、「かえるだんなのけっこんしき」のような絵は生まれていなかったように思うのです。
ロシアのチョコの包み紙 |
※仏時代:熊の親子、白樺 |
でも、その国や時代のニーズに合わせたり、進化をとげたり、その国の自然描写を取り入れたとしても、ロジャンはやはり、ロシアの画家という印象を私は持っています。100冊以上の作品のうちわずか11冊くらいの絵本を見て何か語るのもおこがましいのですが、全くの極私的根拠というものをあげるとすれば、(変わった見方(こじつけ?)であることも重々承知していますが、ほとんどの絵本に「白樺」が登場するということをあげたいと思います。
※米時代:ナナカマド?とこぐまたち |
※ロシア民家? |
で、ここからは、さらにちょっとおまけ的な話ですが、パリ、米国2冊のくまが主役の絵本の、こぐまたちが森で遊ぶページを見れば、ロシアの有名なチョコレートの包み紙となんだか雰囲気が似ているなあと思ったり。このチョコレートの会社は1850年創業で、熊の親子の図柄はロシアでは昔からおなじみだそう。(私のロシア語の先生が、調べて
※白樺、登場します |
今回は生涯にわたる詳しい資料を探せなくて、特に、アメリカでのロジャンのその後の仕事ぶりの詳しい記載があるものがなかった…。結果、実際のロシアとの関わりや思いなど、今後も知る機会をもてたら嬉しいですね。
そこに、やはり白樺は登場するのでしょうか。
楽しみです。
追記:ロジャンコフスキーの絵本で白樺探しをするのは楽しいことでした。ちょっと変わった絵本の楽しみ方ではありますが…。植物学的に本当に白樺と分類できるのかは定かではないので、白樺に見える木を探すという表現が正しいですが。
楽しみです。
追記:ロジャンコフスキーの絵本で白樺探しをするのは楽しいことでした。ちょっと変わった絵本の楽しみ方ではありますが…。植物学的に本当に白樺と分類できるのかは定かではないので、白樺に見える木を探すという表現が正しいですが。
※参考・参照文献
「絵本図書館-世界の絵本作家たち-」(ブック・グローブ社)
「12人の絵本作家たち」(すばる書房)
「ボンジュール!フランスの絵本たち」(イデッフ)
「ボンジュール!フランスの絵本たち」(イデッフ)
「かものプルッフ」(童話館出版)
「りん らん ろん」(童話屋)
「川はながれる」(岩波書店)
「くまのブウル」(童話屋)
「おおきなのはら」(光村教育図書)
「かえるだんなのけっこんしき」(光村教育図書)
「THE TRUE STORY OF SMOKY THE BEAR」(GOLDEN PRESS」/
「ミシュカ」(新教出版社)
「かわせみのマルタン」(童話館出版)
「りすのパナシ」(童話館出版)
「野うさぎのフルー」(童話館出版)