小さな子どもたちを連れて行ったのは結構昔のこと。いい機会なので久しぶりに家族4人で出かけました。到着して目をひいたのは、いい感じに緑に覆われてる建物の外観。壁面にはツルの額紫陽花や、ムベの実がなっていたり、植え込みには八重のドクダミが…。植物観察に再度来たいくらいの植物の充実ぶりでした。
さて、今回は、常設展示「映画の生まれる場所」をじっくり見ることができました。小さい子どもが一緒だとなかなか時間をかけて向き合うことができない場所でしたので、自分のペースでゆっくりと。アニメ制作を目指す子どもが出てほしいという意図もあっての展示だそうですが、すでに充分大人の自分にとっても刺激があり、人生で忘れてきた「何か」を触発されてしまいました。
そして、特別展示です。ビリービンのコーナー。昔話集などから集められた挿絵1枚1枚に、宮崎駿さんのコメントがついていました。アニメーションとビリービン、どうやって結びつくのか想像できなかったのですが、宮崎氏のコメントにその答えがありました。
たとえば、ビリービンの描く「海の波」。波頭や水面のとらえ方に触発されて「波は動かせる」と思ったとありました。当たり前ですが、素人が見る見方とは違うわけですね。コメント全てが「アニメーションにいかせるぞ!」という発見の紹介なのです。当然といえば当然か。雨雲、夜の闇、水面、夕暮れ…どうやったらアニメーションとして皆に伝えることができるのか、宮崎氏の苦心と、またアニメーションの「奥行き」を素人なりに知ることができたのは私にとって発見であり収穫でした。
ビリービン画「バーバヤガー」 |
ビリービンは、ユーゲント・シュテイル花盛りのドイツで西欧文化を吸収し、ロシアに戻って西欧の技法を用いながらもロシア固有の民族性や特色を重んじた作品を残しました。民話を描き、ロシアの根幹的心の故郷の風景を描きました。その心の故郷の風景に、ロシアの「森」は欠くことができない絶対的風景だったわけですね。
そう、そして、その森の植生はもしかすると日本人が考えるよりも重要なのではと思います。以前、ロシアの人にロシアの国の花が「ひまわり」だと伝えたら、首をかしげられました。彼らにとってロシア=白樺だというのです。花よりも樹木が祖国をイメージできるアイコンなわけです。樹木の描き分けは、ロシアの魂を表現したいビリービンにとって必然だったのではと思います。ロシアの森には「トウヒ」や「白樺」がないと始まらないのです。
ビリービン画:ダイナミックな構図です! |
ビリービン画:オオカミに乗っています。 |
で、パラパラと手持ちのビリービン絵本を見ていたのですが、この1枚。あの「もののけ姫」のワンシーンのようですね!!
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ビリービン 「プーシキン民話集 ブイリーナ(英雄叙事詩」5040円 ビリービン 「入り江のほとり」 3150円 |
ロシア絵本「カランダーシ」
すばらしいビリービンの絵の世界を
堪能できます。
画集のようにお楽しみください。
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