が開催されています。19世紀後半以降、日本の型紙がアール・ヌーヴォーやユーゲント・シュテイルにどんな影響を与えたのか作品を通して見ることができるようです。この展示会からも、当時の日本の美術工芸分野が世界に与えた影響がかなりのものだったことがよくわかるのですが、ロシア絵本の星、ビリービンももちろんこのジャポニスム(日本趣味)とは無関係ではありませんでした。
左の二つの絵。この二枚はよく比較されていますが、上が葛飾北斎「冨嶽36景神奈川沖浪裏」(1830-35年)下がビリービンの『サルタン王物語』(1905年)の挿し絵です。このビリービンの絵は特にジャポニスム(日本趣味)の影響が色濃い作品だといえるでしょう。波を大胆にデザインしたダイナミズムあふれる作品の下には漢字を模したような飾り文字のようなものが並んでいます。
ジャポニスム-日本趣味といわれるものは、開国を機に文化交流がさかんになり、1867年のパリ万国博覧会に日本が正式参加したことから始まり、1878年に同じくパリで行われた万国博覧会でピークを迎えます。けれどこれはヨーロッパでの話で、ロシアでのジャポニスムの始まりは西欧より遅れ1890年代に入ってからといわれています。それは、日本から直接というより、西欧を介して入ってきたようです。しかし、ビリービン自身はドイツ留学の経験がありますから、ロシアにそのブームが来る前に、より早くそのジャポニスムの洗礼を受けたのではないでしょうか。
私が今回参考にしたNHKテレビテキスト『テレビでロシア語2010年4月号』の連載コラム「ロシア美術とジャポニスム(上野理恵氏)」によると、当時ロシアには日本美術コレクターが出現し、1890年代には浮世絵の収集が始まったとあります。芸術世界派の美術家たちも1902年にペテルブルグに現れたハセガワと名乗る美術商から多くの作品を買い、またモスクワには日露戦争前まで日本版画を売る「日本の店」があったとあります。
100年以上も前の日本とロシアの文化的つながりをビリービンの絵本を通して知ることができるわけですね。面白いです。そんなこんなでジャポニスムに興味津々の私は開催期間中に三菱一号館美術館に行きたいと考えてはいるのですが…。
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ビリービン 「プーシキン民話集 ブイリーナ(英雄叙事詩」5040円 ビリービン 「入り江のほとり」 3150円 |
ロシア絵本「カランダーシ」
すばらしいビリービンの絵の世界を
堪能できます。
画集のようにお楽しみください。
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