2016年3月11日金曜日

絵本出版2冊目。の「あとがき」

 

 昨年の11月になりますが、カランダーシは2冊目の絵本「わいわいきのこのおいわいかい きのこ解説つき」を発行しました。で、あっという間に今年ももう3月。大変遅ればせながらではありますが、簡単な「あとがき」のようなものをまとめました。


 今回は国際アンデルセン賞受賞画家マーヴリナのきのこの絵本です。しかもきのこの種類の名前がそのまま出てきている絵本です。お話自体は素朴でわかりやすいものですが、きのこに関しては専門的な監修が必要だと思いましたし、さらにきのこにフォーカスして巻末に解説をつけたいと思いました。

 お世話になったのは、国立科学博物館の保坂健太郎博士です。世界中のきのこの調査、研究で活躍されているとてもアクティブな先生です。絵本出版にご理解をいただき、お忙しい中、お力添えいただけましたことは本当に幸いなことです。


 実は、先生に絵本をお見せして、当初思っていた以上にこの絵本が本格的きのこ絵本であることがわかりました。きのこそのものはもちろん、服装、持ち物…などなどにもきのこの特性が反映されていたのです。先生がミステリーの謎解きのように次々と絵を見ながらお話ししてくださるのをお聞きしながら、正直驚き、そしてすっかり奥深いきのこの世界に魅了されてしまいました。

 マーヴリナの描くきのこたちは、それぞれ擬人化されとても個性的です。そして、その個性の表現がきのこそのものの特性を見事なまでに反映しているのです。マーヴリナ自身のきのこの知識やきのこに対するイメージもきっと取り入れられているのでしょう。

 博士には、巻末の解説もお願いいたしましたが、普通の図鑑の解説文のような内容ではなく、解説エッセイのようなものがいいのでは、というご提案をいただきました。こうして読み応えたっぷりの、専門的なのにわかりやすい「きのこはかせのかいせつ」が生まれることになったのです。

 この「きのこはかせのかいせつ」は面白いと好評です。小さいお子さんは大人に「かいせつ」を読んでもらって、さらに一緒に本文の絵を見ながら楽しんでてくれれば嬉しいと思います。保坂先生のお力を借りて、きのこという専門分野をわかりやすい形にして皆様に届けることができたのはよかったと思っています。

 さて、ロシアはきのこの国。きのこ狩りも日本にくらべると一般的なことで、実際に子どものころから郊外や森に出かけてきのこをとり食すことは珍しいことではないようです。この絵本はそういう国の絵本です。この絵本の原書が作られた当時(1950年代)はもっときのこ狩りがさかんだったと想像できます。多分、この絵本はそんな時代に、楽しいきのこのお話絵本として作られた、とも思いますが、小さい子どもがきのこの種類を覚えることにも用いられたのではと思います。

 この絵本、お話の中では、毒きのこに対して情け容赦がありません。「かいせつ」にあるように宗教的な背景でこのことを考えることは重要です。プラス、やはりこれはきのこ狩りが身近な子どもたちへの、毒きのこは食べられるきのこと一緒に混ぜてはいけない、という現実的、実践的な「ガチな」教えなのでしょう。

 でも、まあ、そんなこんなはそれとして、とにかく、とにかく、まずはこの巨匠マーヴリナの描くザ・ロシアの元気なきのこたちを、ひとつひとつよーく見ていただければと思います。「なんて表情豊かなきのこたちなんだ」ときっと驚くことでしょう。そして、「かいせつ」を読んでいただいて、さらにきのこたちと仲良くなっていただけたらと思います。

 制作的には1作目とはまた違うチャレンジでしたし、もろもろ頭抱えることもありましたが、絵本の中のにぎやかなきのこたちに励まされながら何とか新しい翻訳絵本を世に出すことができました。本当にありがたいことです。

 子どもから大人まで誰でも楽しめる絵本です!
 まだご覧になってない方は是非お求めくださいますようお願い申し上げます! 
 
 
 
  



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